
海外デザインブログ Canva Design School で公開された「Graphic Design From Around the World: Scandinavian Design」より許可をもらい、日本語抄訳しています。
世界中の異なる地域によって、食べものやファッション、信念など、ほとんどのものに違いがあると言えるでしょう。世界中の人々によって、無数のユニークなスタイルが確立されています。デザインの世界も例外ではなく、国によって異なるスタイルと個性を持っています。
世界でもっとも確立されたデザインスタイルのひとつが、北欧デザイン(英: Scandinavian Design)です。朗らかな配色カラーパレットに、繊細な直線ライン、自然をテーマにした絶妙なスタイルが人気です。
機能性や、統一性、自然らしさ、いつの時代でも美しいという特長が、北欧デザインの人気が長く続く理由と言えるでしょう。今回は、北欧デザインの目立った7つの特長ポイントを、詳しくじっくり見ていきましょう。
詳細は以下から。
01. シンプルな直線と形
北欧デザインでは、さっぱりとしたライン線と形を利用する傾向があります。上記サンプルは、コンビニエンスストア「セブン・イレブン」用に作成されており、ライン線をリズミカルに並べることで、数字の7を表現しています。
下記ポイントでも詳しく紹介している、控えめな配色カラーパレットに、ミニマルスタイルのデコレーション、そして直線ラインと形を組み合わせることで、モダンで洗練された雰囲気を演出しています。
デザインプロジェクトに北欧デザインを取り入れたいときは、デザイン要素としてシンプルなシェイプを利用してみましょう。反復デザインを用いることで、より洗練されたデザイン解決テクニックとなるでしょう。
02. 単純でシンプル
北欧デザインの特長は、シンプルさです。多くのデザインでは、ごちゃごちゃした印象に比べ、プロダクトの複雑さを軽減するテクニックが利用されています。
ディテールまで作りこまれたイラストや、複雑な配色カラーパレットなどの利用は避けておきましょう。シェイプや文字テキストなどすべてのデザイン要素は、できるだけシンプルにするように心がけましょう。
上記サンプル例では、多くのデザイン要素やテクニックを利用する代わりに、文字テキストにたっぷりの余白スペースを確保することで、商品をモダンで磨かれた印象に仕上げることができています。
もっとも重要となるデザイン要素のみを使い、シンプルなアプローチをすることで、北欧デザインの特長でもある、落ち着いた(英: Serenity)、洗練された(英: Sophisticated)個性を表現できます。
03. ミニマリズム、ミニマル・スタイル
上記ポイントのシンプルさに加え、北欧デザインはミニマル・スタイルでもあります。必要最低限のデザイン要素だけを残し、ほぼ幾何学模様のみにまで削ぎ落とすことを意味しています。
北欧デザインは、ミニマルスタイルが、もっともエレガントなデザインテクニックのひとつである、良い具体例と言えるでしょう。利用するデザイン要素の数を制限することで、魅力的な仕上がりを実現することができます。
上記サンプルでは、必要最低限のパーツを描くことで、十分に機能や商品について伝えることができています。
北欧デザイン向けのミニマルスタイルを採用するときは、有名ファッションデザイナー、ココ・シャネル(英: Coco Shanel)の考えを意識してみましょう。彼女はかつて、「アクセサリーをつけるときは、最後につけたものをいつも外そう。(When accessorizing always take off the last thing you put on.)」と言っています。デザインするときは、そのパーツが本当に必要なものか検討するようにしましょう。
04. 洗練された配色カラーパレット
北欧デザインで利用されている配色は、誠実で(英: Honest )、スッキリとした(英: Clean)デザインが特長です。上記サンプル例では、アース色の暖かい色合いがポイントです。
白や薄い灰色、空色、クリーム色などの、配色カラーパレットを利用されているケースも多く、この落ち着いた色の組み合わせによって、情報を理解しやすくするだけでなく、エレガントな雰囲気に仕上げることができます。
北欧デザインの多くが、アース色にちかい控えめな配色となっていますが、すべてというわけではありません。有名な Marimekko は鮮やかで、大胆な配色を利用したプリントデザインを展開しています。
05. 自然をモチーフに。
北欧、スカンジナビアに住むひとたちは、アウトドアを愛しており、こんな景色も珍しくはありません。北欧デザインが自然をモチーフにしたスタイルを、積極的に取り入れているのも、こんな文化的背景からも驚きではありません。
ウッドテクスチャや、美しい色合い、形やパターンなどは、北欧での自然を愛する気持ちを、作品を通して見事に表現しています。熟知したミニマルデザインに、暖かさを加え、冷たさをうまく取り除いたスタイルを確立しています。
06. 照明の利用
長い冬の季節を過ごす地域では、ライトの光によって日常生活は大きく影響を受けており、北欧デザインでも主要なデザイン要素のひとつとなっています。暗い冬での生活により、より注意深くライトや照明を、デザインに取り入れるようになっています。
魅力的なビジュアルを実現するために、照明を利用している作品を見つけることは、決してむずかしいことではありません。上記サンプル例では、照明テクニックを取り入れることで、折り紙の形や奥行き感を、見事に表現しています。
明るいスクリーン画面の前で作業を行うデザイナーとしては、インスピレーションが必要なときに光を見ることを忘れがちですが、部屋のまわりを見渡し、ユニークな影の付き方などに目を向けてみると、デザインの参考にもなるでしょう。
07. 職人の技、クラフトマンシップ
多くの北欧デザインでは、自然をモチーフとした素材と一緒に、職人による素晴らしい作品が揃っています。材料となるマテリアルを美しく仕上げる職人技は、北欧デザインに欠かせないテクニックのひとつと言えるでしょう。
グラフィックデザインにおいても違いはなく、高いレベルの職人技がひかる作品が数多く公開されています。上記サンプル例では、高度な彫刻技術によって、美しい魚を描いた版画を制作しています。デザインの工程、そして完成形については、こちらのページからどうぞ。
北欧デザインを代表するデザイナー
以下では、プリントデザインから、イラスト、フォント書体、パッケージデザインなど、さまざまな側面からみた、北欧デザインを代表するデザイナーをまとめています。
01. サーナヤオッリ: Saana ja Olli
サーナヤオッリ(Saana ja Olli)は、北欧を代表するインテリアデザイン・グループで、これまでグラフィックデザインやインテリアなどを手がてけており、ポートフォリオサイトでは、デザインのインスピレーションになりそうな作品が、数多く公開されています。Instagramアカウントでは、美しい配色を定期的にポストしています。
02. BVD
BVDは、雑誌などのプリント媒体からパッケージ、ブランディングデザインなど、幅広く美しいプロジェクトを手がける、スウェーデンを拠点にしたデザイン代理店。
03. グスタブ・カールソン: Gustav Karlsson
グスタブ・カールソン(Gustav Karlsson)は、鮮やかで絶妙な色使いが特長で、見たひとの視線を釘付けにするデザインが魅力のデザイナー。
04. クリスティン・ガルハイム: Kristine Gulheim
クリスティン・ガルハイム(Kristine Gulheim)は、さまざまなデザインプロジェクトを手掛ける、新鋭デザイナーのひとりで。上記作品では、グリッド状に並べた穴に、糸を通すことで、ユニークな幾何学模様を表現する、ブランディングがユニークです。
05. シガルーン: Sigríður Rún
シガルーン(Sigríður Rún)は、美しい自然をモチーフとした作品に定評のある、グラッフィクデザイナー兼イラストレーターのひとり。上記サンプル例は、「文字の解剖学(英:Anatomy of Letters)」と題したデザインプロジェクトで、どのように文字ができたのか、豪華なグラフィックと詳しい説明をつけて発表しています。
おわりに。
北欧デザインをモチーフにしたデザインを取り入れたいけど、なにからはじめたら良いか分からない。そんなときは、今回紹介したポイントのうち、最低でも2つを活用してみましょう。たとえば、シンプルなライン線や形と、落ち着いた配色を利用してみるのも良いでしょう。では、デザインを楽しんで。
参照元リンク : Graphic Design From Around the World: Scandinavian Design – Canva Design School